「気持ちを言えるようになってほしい」と願うときに、本当に必要な力とは?
発達障害のお子さんを持つ親御さんから、よくこんなご相談を受けます。
「自分の気持ちを言えるようになってほしいんです」
学校でも家庭でも、思っていることを言葉にできない。
質問されても答えられない。
嫌だったことを後から爆発させてしまう——
その姿を見ると、「ことばの力を伸ばさなければ」
と感じるのは自然なことだと思います。
私自身、以前は
- 感じていることを整理する力
- 言葉を組み立てる力(論理力)
- 語彙や表現の不足
こうした「話すためのスキル」が足りないことが原因だと考えていました。
だから、説明する練習や表現のトレーニングを重視していました。
現場で見えてきた“別の課題”
最近、子どもたちの様子を見ていて、あることに気づきました。
もしかすると弱いのは
「言いたいことを言う技術」ではなく、
「相手に聞いてもらえる関係をつくる技術」なのではないか
ということです。
聞いてもらえる関係は、こんな小さな行動から生まれます
例えば——
- あいづちを打つ
- 相手の隣に座る
- 一緒に同じことをする
- 相手の良いところを伝える
こうした行動は一見、ことばの練習とは関係ないように見えます。
でも実はこれらがあることで、相手との間に
「この人は自分を受け止めてくれる」という感覚が生まれます。
この安心感があって初めて、人は自分のことを話し始めます。
セッションの中で起きた、小さくて大きな変化
重度のお子さんの論理クラスで、こんな取り組みをしました。
模写をして、相手の作品の良いところを伝える。
ただそれだけの活動です。
でも、この「相手を見る」「受け取る」「返す」という体験を通して、
それまでほとんど反応のなかったお子さんが、
ある瞬間——ふっと眉を上げて、話し始めたのです。
その後、発話の回数が少しずつ増えていきました。
ことばは、“安心のあと”に育ちます
話す力を伸ばそうとするとき、
私たちはつい「言わせる練習」を考えてしまいます。
けれど実際には、
安心して存在できる関係性
身体感覚としての安全
人と関わる経験の積み重ね
こうした土台が整うことで、ことばは自然に出てくるようになります。
「話せない」のではなく、「話す準備が整っていない」だけかもしれません
もし今、
- 気持ちを言えない
- 質問に答えられない
- 会話が続かない
そんな姿に悩んでいるとしたら、
アプローチの順番を少し変える必要があるのかもしれません。
ことばは、訓練だけでは育ちません。
身体・関係性・体験の中で育っていくものです。
身体から整える発達支援という視点
当方では、ことばの前段階にある
「話すこと」だけに焦点を当てるのではなく、
話したくなる土台を育てることを目的としています。
もし、同じようなお悩みをお持ちでしたら、
お気軽にご相談ください。
お子さんの状態に合わせた関わり方を、一緒に考えていきます。


